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Cyber Portを通じた
データ共有で、荷主・海貨・
陸運業者・関係者全体の
業務効率化に寄与したい

三井倉庫株式会社

  • ターミナルオペレータ
  • 海貨業者
  • 船舶代理店

三井倉庫株式会社は、全国各港でコンテナターミナル運営や船舶代理店業務を行う中でCyber Portを活用しています。その導入背景や今後の期待についてお伺いしました。

課題

  • 荷主・海貨業者・陸運業者・船舶代理店といった業者間での電話やFAXでのやりとりを減らしたい

施策

  • 自社システムからCyber Portにデータ連携する仕組みを構築

期待

  • データ共有が今よりも容易に遅滞なく行えるようになることで、業者間の問い合わせが減っていくことを期待

Before

After

Before After

Before After

インタビュー

Interview

従来からの電話やFAXによるやりとりを極力減らしたい

Cyber Portの導入背景について教えてください。

仲嶌氏 港湾物流は昔と比べてデジタル化が進んできたものの、船社や船舶代理店からのArrival Noticeの発送などは依然としてFAXによるやり取りが多く、送受信の確認に電話応対が必要となる場面が多々あります。そうしたFAX・電話応対をできるだけなくすことで、当社の業務のみならず、当社とやり取りのある荷主様や海貨業者様の業務効率化にも繋がるのではないかという思いでCyber Portの導入を決定いたしました。

過去の取り組みとして、空コンテナピックアップオーダーとDelivery Order(以下、D/O)レス申請をFAX受付からWEB受付に変えたことで、電話による問い合わせが減り、当社の業務が大幅に効率化された経験があります。その経験から「電子化」が業務改善に繋がることを確信しており、現状、FAXやメール等で発信している情報をCyber Port上でデータでも提供できるようにすることで、当社システムを利用する海貨業者様・荷主様の業務効率化に寄与できるのではないかと考えています。

Cyber PortにArrival Noticeや空コンテナピックアップオーダー確定情報などをデータ連携する仕組みを構築

現在、Cyber Portを活用してどのような取り組みをしているのでしょうか?

川上氏 現在はCyber Portを当社で活用しているというよりは、荷主様や海貨業者様等にFAXやメール等で発信している情報を、Cyber Portを通してデータでも提供しています。

具体的には、荷主様・海貨業者様等が当社のWEB申請システム(D/O WEB申請システム・POWER-Tシステム)で各種申請をされる際に、Cyber Portの組織ID・事業種別を一緒に登録していただくことで、Cyber Port上に運賃を除くArrival Noticeの情報・空コンテナピックアップオーダー確定情報を連携できるようにしました。また、輸入チャージの入金、B/L回収といった諸条件を満たし、D/O出力(NACCSのDOR電文出力のこと。以下同様)を完了したB/Lについては、Cyber Port上に荷渡指図書の帳票データを作成する仕組みもつくりました。

D/O WEB申請システム:Cyber Port連携箇所

荷渡指図書のCyberPortへの連携フロー

さらに、D/O WEB申請システムに申請時の振込情報を全銀フォーマット形式(※1)でダウンロードできる機能も追加しています。アカウント情報に申請者の利用する振込元銀行の情報を登録いただくことで、D/Oレス申請した内容の運賃や船会社指定振込先口座の情報と共に、全銀フォーマット形式で出力できます。これを活用いただくとインターネット上で振込手配をされる際に振込内容を1から入力する手間が省けるので、是非ご活用いただければと思っています。
将来、Cyber Portと金流プラットフォームの連携が実現すれば、振込完了の通知などにもこの機能は活用できるのではないかと考えています。

(※1)全国銀行協会連合会が定めたデータ様式(ファイルフォーマット)のこと。

D/O WEB申請システム:全銀フォーマット形式ダウンロード箇所

Cyber Port上のデータ共有で、データ入力作業の省力化や電話でのやりとりを減らせるのではないか

Cyber Portへのデータ連携によって、どういった業務の効率化を期待できますか?

川上氏 現行の手順通りFAXまたはメールで送信しているものと同じデータをCyber Portに連携できるようにしているので、Cyber Portとの連携によって当社業務フローが変わってはおらず、当社業務において大きな効率化がなされたわけではありません。

ですが、当社システムからArrival Notice情報や荷渡指図書、空コンテナピックアップ確定情報がCyber Port上に連携されることで、当社とやりとりのある荷主様・海貨業者様・陸運業者様にメリットがあるのではないかと考えています。必要情報をデータで入手できれば、各社の社内システムへのインプット作業など、必ず効率化される業務はあるはずです。

ターミナル側も業務が簡素化されて、電話も鳴らなくなり、負担は減った

荷主や海貨・陸運業者が今回のCyber Portの仕組みを活用すれば、現在の電話やFAXによるやりとりも減らせそうでしょうか?

川上氏 具体的に想像できるシチュエーションとしては、例えば、輸入貨物引き取りでの海貨業者様と陸運業者様のやりとりです。陸運業者様が貨物を引き取りに行く際、海貨業者様側でD/O交換処理が完了している必要がありますが、NACCSでその処理状況を確認する方法はありつつも、陸運業者様はNACCSを利用できないので、海貨業者様からの連絡を待つしかありません。もし、陸運業者様がCyber Port上でそれを確認できるようになれば、海貨業者様に聞かなくても済むので、電話による問い合わせを減らせるのではないかと考えています。

Cyber Portという広く開かれた場に、より多くの事業者が参加することで、利便性はもっと上がっていくはず

今後のCyber Portにどのような期待を持っていますか?

仲嶌氏 当社は、旧来FAXでやりとりされていた空コンテナのピックアップ申込受付やD/Oレスの申込受付をいち早くWEBコンテンツへ切替えて来ました。 しかし、やはり民間の一社だけでは、自社努力でのシステム開発や効率化には限界があると感じています。Cyber Portという港湾物流に関わる事業者に広く開かれた場を通じて情報のやり取りができるようになれば、より大きな変革がもたらされるだろうと期待しています。

当社は現在、船舶代理店・ターミナルオペレーターの立場でCyber Portに参画しており、上流のデータをCyber Port上で提供し、Cyber Port利用者に対して後続業務でのデータ活用を促せる立場にあります。社内には海貨業務や運送、NVOCCの部署があり、社内での情報展開・共有の可能性も大いにあります。同業他社への展開も同様です。物流業務のあり方の変革にいくばくかでも貢献できればと考えています。

山城氏 Arrival Noticeのやりとりでも将来的にはCyber Portが役に立ちそうだと思っています。よくあることとして、B/LのNotify Partyに記載されていない海貨業者様等からArrival Notice要求のお電話をいただきますが、基本的にB/L面上に記載されていない方へArrival Noticeをお渡しすることはできません。なぜこのような問合せをうけることが頻発するかというと、Notify Partyと輸入通関等を依頼された海貨業者様の間での情報共有がうまくできていない、この場合はArrival Noticeの共有ができていないことに起因しています。

現在は当社からのArrival NoticeをFAXもしくはメールで受け取った後で、当社のD/O申請システムを通じてCyber PortにArrival Notice連携を申請できる形になっています。そのため、Cyber Port上でのArrival Noticeのデータ取得が、本来求められるタイミングよりも大幅に遅いものとなっていて、データで入手できることのアドバンテージが潜在的なものより弱い状態です。

将来的に、船会社またはその代理店が、Arrival Noticeを発送するタイミングでNotify PartyのCyber Portの組織IDや事業種別を入手できるようになれば、現行の紙、もしくはPDFでのArrival Notice送付がCyber Port上での送付に変化していくだろうと期待しています。 そうなればNotify PartyがCyber Port上で輸入手続きに関わる関係者を設定するだけで、Arrival Noticeの情報共有を容易に行えるようになるはずです。

最後にひとことお願いします!

仲嶌氏 Cyber Portは関係する事業者が相互にデータを提供し合うことで、活用機会やメリットがさらに増えていくと感じています。港湾物流にかかわる皆様のCyber Portの利用が進むことで、よりよい仕組みになっていけば良いなと思っています。

[お話を伺った方]
三井倉庫株式会社 港運統括部
部長 仲嶌 寿樹 氏
企画課 課長 川上 順 氏
企画課 山城 美帆 氏

取材日:2022年8月30日

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